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動物通信

社会と共に生きる住みよい環境を求め


 人畜共通伝染病


昨年は人畜共通伝染病の中でも最も危険な“狂犬病”について紹介しました。しかし、日本は毎年予防注射が法律により実施されています。 その結果、幸いにも昭和32以後は、この日本において狂犬病の発生は ありません。 しかし、もう発生しないということではありません。

周辺の国々の中には、まだまだ狂犬病は存在している国も多いのです。 常に日本に入ってくる危険は残っています。 しかし、日本の国内には狂犬病以外にも、多くの人畜共通伝染病が存在し、少なからず私たち人間や動物に被害をもたらしているのです。

更に、世界にはまだ多くの病気があるのです。また、人と動物の共通した病気にはウィルスや細菌から感染する病気だけではなく、カビや寄生虫から感染する病気も多いのです。

日本に存在する主な、人と動物に感染する病気
病  名
病気の原因
感染する動物の主な種類
狂犬病
ウイルス
イヌ、ネコ、家畜、野性動物
日本脳炎
ウイルス
豚、馬、牛、鳥類
腎症候性出血熱
ウイルス
ラット、野性小哺乳類
発疹熱
リケッチア
齧歯(げっし)類
ツツガ虫病
リケッチア
野性小哺乳類
オウム病
クラミジア
オウム、インコ、ドバト
結核
細菌
牛、その他家畜
パスツレラ病 
細菌
イヌ、ネコ、家畜
サルモネラ病 
細菌
家畜、家禽、ペット、野性動物
リステリア脳炎
細菌
緬羊、ヤギ、牛、鳥類
レプトスピラ症
細菌
齧歯類、イヌ、豚、
カンピロバクタ−症
細菌
牛、緬羊、豚、イヌ、鶏
クリプトコッカス症
真菌
ネコ、その他の哺乳類、ハト
皮膚真菌症
真菌
イヌ、ネコ、家禽
カンジタ症
真菌
鶏、哺乳類
トキソプラズマ症
寄生虫
イヌ、ネコ、哺乳類、鳥類、齧歯類
犬条虫症
寄生虫
イヌ、ネコ
鉤虫症
寄生虫
イヌ、ネコ
広節裂頭条虫症
寄生虫
イヌ、ネコ、熊、キツネ
アニサキス症 
寄生虫
アジ、サバ、イカ、イルカ、哺乳類
トキソカラ症 
寄生虫
イヌ(多い)、ネコ、狼、キツネ
猫引っ掻症
原因不明

 

●  レプトスピラ症

イヌ、牛、馬、豚がこの病気にかかり、ネコではほとんどかかりません。
人では、感染するとワイル病という病気になります。
(原因) レプトスピラ菌という細菌が原因で、ドブネズミが主な感染源です。尿に菌が含まれていて、その尿から感染するのです。
(症状) イヌがレプトスピラ症にかかると、腎炎を起こし、出血性胃腸炎と潰瘍性口内炎を伴います。
急性のものは高熱、臓器出血をきたし、2〜3日で死ぬことがあります。 ネズミは、ほとんど無症状で生涯保菌し、尿中に排泄するため、感染源となるのです。
(予防) 一般的にはネズミを駆除することですが、都会では下水道が整備されて来ているため、感染する危険は少なくなっています。
私たちにできる予防策は、イヌにワクチンを接種することです。ワクチンにはいろんな種類がありますが、現在ではいくつかの病気に対応するために、主に混合ワクチンが用いられています。獣医師に相談して適切なワクチンを選んでもらうとよいでしょう。

 オウム病

この病気は、1879年にスイスの医師が鳥と接触した後に発病した肺炎に気づいて発見されました。その後オウムにより伝染する病気として“オウム病”と名付けられました。
(原因)鳥類から哺乳類までの広い種類の動物に、オウム病クラミジアという病原体の感染により起こる人畜共通伝染病一つです。 鳥類は症状がなくなっても病原体を持っていて、感染の原因になるので注意が必要です。
(症状)下痢、衰弱や中枢神経症状などが現われます。人では呼吸器感染による肺炎が主な症状ですが、脳炎を併発することもあります。
(予防)糞や分泌物に混じって排泄されるので、常に鳥小屋を清潔にしておくことが大事です。

 トキソプラズマ症

一般的には、妊娠しているお母さんに注意してもらう病気として、よく知られていますが、この病気について理解すれば、そんなに恐くないことがわかってもらえると思います。
(原因) トキソプラズマというのは、目に見えない小さな原虫と呼ばれる寄生虫が原因で、主にノラネコのおなかの中の腸に住みついるものです。この原虫がオ−シストと呼ばれる卵のようなものを産んで、ネコの糞と一緒に排泄されるのです。このオ−シストに汚染されたものを摂取することによって感染します。
(症状) 人の場合には、先天性感染が問題になります。妊娠した女性が感染を受けると胎児に感染して、主に中枢神経系や眼障害を起こします。
(予防) ネコの飼い方に注意しましょう。猫を飼い始めるときには、必ず獣医師に検査をしてもらってください。検査の結果、ネコがトキソプラズマを持っていたとしても、薬によって、駆除することができます。
特に捨てネコを拾った場合などは、すぐに検査を受けてください。更に、その結果がでるまでは、ネコを触った後、手をよく洗っておくほうが良いでしょう。

 トキソカラ症

これは子イヌ、子ネコに多い病気です
(原因) 犬回虫およびネコ回虫という寄生虫の幼虫が原因です。トキソプラズマと同じく、ノラネコが持っていることが多い寄生虫で、腸に住みつき、糞の中に卵を排泄します。この卵を摂取することによって感染することが多いのです。
(症状) イヌ及びネコは、この寄生虫に感染すると、下痢を起こしたり、体が弱くなったりすることが多いのです。
人では、腸の中で卵からかえった幼虫が、体のなかを移行して幼虫臓器移行症を起こすことがあります。この病気は、斜視、失明、視力障害、喘息様症状など多くの症状を示します。通常、幼児に発生が多いようです。
(予防) トキソプラズマ症と同じように、イヌとネコの飼い方に注意しましょう。子イヌ、子ネコが問題になることが多いので、飼い始める時には、獣医師に検査をしてもらい、虫がいたら、薬をあげて駆除してください。

飼育

いつ頃から人がイヌと一緒に生活するようになったのでしょうか。
紀元前1万2千年頃の人類の遺跡に、イヌの骨が一緒に発見されたので、私たちの祖先がイヌと一緒に住んでいたと考えられるのです。それくらい人とイヌとの関係は長いのです。
イヌが野性だった頃、グル−プのイヌは互いに協力しあって獲物を倒していました。イヌの習性として大事なのは集団を作り行動する本能を持っているということです。阪神大震災のとき、家が壊され、焼かれたりして住むところを追われたイヌたちが、夜中にボスらしいイヌを先頭にして、小型犬を真ん中に、その周囲を大型犬が囲んで集団で走っていたのを目撃したという話があります。

あなたがボスです 
イヌは集団を作ってボスを選び、ボスを中心として行動したがります。 私たちがイヌと暮らすということは、私たちの家族とイヌとで、集団を作るということになります。 あなたがイヌを飼育する場合、当然、イヌは人間社会で暮らしていくことになります。 
したがって、人間社会のル−ルに従うことが重要で、必ずあなたがイヌのボスにならなければなりません。


ボスがイヌになってしまったら
イヌが、あなたの言うことをきかない、噛みつく、ということがありませんか。それは、イヌがあなたをボスと認めていないからです。こんな時、あなたはイヌのル−ルに従わされているわけです。そうなる前に、イヌをしつけなければなりません
 間社会のなかで、イヌが広く受け入れられるようになり、私たちとイヌがうまく暮らしていけるよう、イヌを飼う人は、しっかりとイヌをしつける責任があります。イヌを好き放題にさせることがイヌに対する愛情ではありません。しっかりしつけられたイヌこそが、社会に受け入れられ、だれからも愛される幸せなイヌなのです。

イヌにとってボスとは
何といっても強いこと。何をしても抵抗できないと思わせる強さが必要です。また、同時に、自分に十分愛情を注いでくれて、信頼関係を築ける存在でなければなりません。

あなたがボスだと示すには
イヌにあなたがボスであると示すには、子イヌの時から一貫した態度を示さなければなりません。

食事はボスが最初
食事はボスが最初にとるものです。食事の順番により、優位関係を教えます。たとえ食事中にイヌがお膳まわりをしてそばによってきても、絶対にあげてはいけません。私たちの食事が終わってからイヌにはイヌのための食事を与えます。

遊びながら強さを示す
遊びを通して、時には、犬の体をひっくり返したり、上に乗ったりして、イヌが抵抗できないことを行なって、こちらの強さを示し、服従させます。
布などの引っ張り合いは、布を取るとイヌは勝ったと思い込むので、こうした遊びはやめたほうが良いでしょう。

イヌをしかるには
犬の鼻を手で握って口をふさぐことは、イヌは一番嫌がりますので、しかる際にはこの嫌がることを行なって、目を見つめながらしかると、優位関係を理解させやすく、教育的効果があります。しかる時にたたく方法は、イヌが遊びと勘違いすることがあるので注意してください

散歩を通してしつける
イヌは散歩が大好きです。また、散歩はイヌとの心の触れ合いに最適な手段です。 そして、子イヌの時から散歩を通して、社会のル−ル(してよいこと悪いこと)を教えていくことが大切です。またイヌには必ずリ−ド(ひも)を付けて、犬の行動を瞬時にコントロ−ルできるようにすることが、飼い主の責任でもあります。

散歩=トイレタイムは間違い!!
日本には、イヌが散歩の時にトイレを済ますことが当然と思っている人が多くいます。これは大きな間違いです。これはイヌ嫌いの人の非難の的になっています。トイレは家の中で済ませるのが都会生活のル−ル。“トイレが済んだら散歩をする”よう努力しましょう。どんな場所にでもイヌを連れていける社会にするためには、個々のイヌが人間社会のル−ルを学ばなければなりません。そのために、まず、ボスであるあなたの意識改革が必要です。

トピックス

全世界を恐怖の縁に陥れた“エボラウィルス”の正体は?

1976年ザイールのブンバゾーンと呼ばれる地域で正体不明のウィルスが引き起こした病気は感染した患者の70%〜90%が死亡するというものでした。

ここはコンゴ川の支流、エボラ川の流域にあたっていたため、病原ウィルスは“エボラ”と命名されました(エボラウィルスにはエボラスーダンとエボラザイールがあり、特に後者が最悪です)。

今年19年ぶりにエボラウィルスの流行があり一度は終息宣言が出されホッとしましたが、5月19日の国営ザイール通信によると一週間で22人の新規患者が出て、うち17人が死亡と発表され、今年の感染者はすでに289名、うち260名の死亡となりました。

エボラは感染した途端人間の骨と骨格筋を除いたすべての部分を攻撃し、あらゆる器官がどろどろに消化され粘液状のウィルス粒子の巣となり、体中の穴という穴から出血し、死に至るのです。

末期患者の細胞はウィルス粒子の一杯つまった結晶体に近く、患者の血の一滴に含まれるウィルス粒子は1億個にも達します。

エボラが恐いのは有効なワクチンも有効な治療も見つけられず、どこに潜んでいるのか、どういう経路で感染するのかほとんど判っていないことです。

たとえば、1989年CBSニュ−スによれば、アメリカにフィリピンから輸入されたサルがエボラに感染していることがわかり、しかも空気感染によってサルが次々に感染した事態を重く見た政府は、検疫所を閉鎖した事実があります。

その時のエボラはのちにエボラレストンという新種でサルには有害であるが人間には無害であったことが判り、首都ワシントンDCは壊滅の危機からまぬがれたのです。しかし、いつこの危機が日本を襲わないとはだれにも言えないのです。



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