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動物通信

photo犬・猫って、どんな気持ちで暮らしているの?

はじめに
身近な犬と猫の生活
年齢って、こんなに違う
命の重さはみな同じ
保護者の方へ



 はじめに


皆さんの中には、動物が好きで家族として一緒に暮らしている人や、学校で動物を飼育していて、その世話をしたことがある人もいるでしょう。また反対に、触ったり抱いたりするのは苦手だという人もいるでしょう。
その動物たちも私たち人間と同じように、生まれてから一生を終えるまで、毎日生活をしています。その生活の中で、動物は何を感じ、またどんな気持ちで暮らしているのでしょうか?
皆さんが動物を見たとき触ったとき、かわいい・暖かいとか、ちょっと怖いなとか、いろいろ感じることがあると思います。はたして動物たちはどうなのでしょう?
人と動物では、違うところがたくさんあります。その違いについて、犬と猫を中心に、いくつか例をあげて、説明します。ずいぶん違うのだなと思う人も多いでしょう。でも、本質的には人とあまり変わらないのだな、と気づく人もいるかもしれません。人も動物も同じ命なのだということを感じながら、読んでください。


 身近な犬と猫の生活

人と動物(ここでは犬と猫)の違いは、人間は高度な知的動物で、自分のためだけでなく、家族のため、人のため、社会のため、動物のため、日常の生活の中で勉強したり働いたりしますが、飼われている犬や猫、動物園の動物は受身の立場で生活しています。人間でも赤ちゃんの時から成長期を経て、社会に飛び立つまでは受身の立場にあります。
飼育されている犬や猫は朝起きて、排泄(トイレ)、散歩、食事、遊び、昼寝という単調な暮らしが多く、自分自身が生きていくためだけの生活が大半をしめています。
でも、動物もペットとしてだけでなく、その習性や能力を活用して、人間のために生活している動物もいます。現在、あまりいなくなりましたが、猟犬、馬車馬、農耕馬、農耕牛などが活躍しています。身近では、盲導犬、災害救助犬、警察犬、介助犬、聴導犬、麻薬探知犬などが働いています。このように、リーダーのもと、群で生活する習性を利用して活躍している犬と、単独生活を好み、その狩猟本能を利用されていた猫の生活ぶりの例を紹介しましょう。

photo盲導犬セーヌの生活

ラブラドールレトリバーの盲導犬セーヌの生活をご紹介します。セーヌは盲導犬として訓練をした後、家庭の中に入り、視聴覚障害の主人と生活を共にします。セーヌのご主人は整形外科医院で働いている指圧・マッサージ師の女性です。セーヌは毎日バス・電車を乗り継いで職場に通い、仕事をしている主人の足元で静かに待っています。帰宅時には一緒に自宅に帰ります。ご主人が小学校や幼稚園で講演を行う時には、セーヌにとって初めての場所へも行きます。
ご主人はたいへん行動的な方だったのでアメリカの合宿に行ったり、沖縄の海へスキューバダイビングに飛行機や船で行ったりもしました。このような犬は人間と共に生活し人間の役に立つために、人間の生活に合わせています。セーヌは12歳で盲導犬としての仕事から引退し一般家庭に引き取られ、猫ちゃん3匹と共に自由な余生を送っています。
どんな大切な仕事をしている犬でも、人間の寿命より短いので別れは必ずやってくるのは仕方のないことです。セーヌの元ご主人は二代目の若い盲導犬と現在は生活しています。

災害救助犬の話
災害救助犬の2頭のアイリッシュセッターのお話をしましょう。1日おきに半日の訓練、という日程をこなし、甘えん坊だった子が、次第に心身ともに成長していきました。今年は1年に1回の災害救助の訓練に参加しました。自衛隊のヘリコプターと隊員30名、炊飯車、消防車と各々隊員数十名が集合する中で、飼い主から離れ救助活動を行うのです。ものかげにかくれている人間を探し出し、機敏に、真剣に行動する愛犬を見ると、普段やんちゃでわがままな犬とうってかわってとてもりりしく感じた、と飼い主は言っていました。
犬は、このように、リーダーのもとに自分の役割を自覚し作業をしていくことで、自信を持ち成長していきます。

photo飼い主のいない猫の話
人間に飼われて大切にされている犬や猫たちと違い、人間の生活の場の近くで野良猫としての生活をやむをえずしている猫たちがいます。
商店街の片隅に1匹のメス猫が迷い込んできました。道行く人も、周囲の人も餌をだしたり、段ボール箱を用意したり、心遣いをして可愛がっていました。猫はやさしい飼い主はいないけれど、自分の考えで行動できるこの生活を楽しんでいました。
成長して、不妊去勢手術をしていなかったので、おなかが大きくなりました。さあ大変、子猫が生まれたら大変だ、どこか遠くへ捨ててこようかしら(注意 犬や猫などの愛護動物を捨てると法律に違反する場合があります)、子猫の数が多かったらどうしよう、と大騒ぎになりましたが、結論が出ないうちに猫の姿は見えなくなってしまいました。その後、お腹がへこんでスマートになったお母さん猫だけが皆のまわりで餌をねだるようになりました。
1ヶ月もすると、子猫を4匹もひきつれた猫一家が登場、子猫のあまりの可愛さに、道行く人は足を止め、近くの子どもは見にきたり、子どもの手をひいたおばあさんも可愛いねと見にくるようになりました。2ヶ月もすると、子猫はひとり立ち、また、お母さん猫はお腹が大きくなる…の繰り返しで、あっというまに15匹の大家族。こうなると、「ふんと尿が臭い」「きたない」「鳴き声がうるさい」「誰がえさをやっているんだ」と、文句を言う人で大騒ぎ。猫一家は、餌場の取り合いで、同心円に外へ外へと広がっていき、住民に迷惑をかけました。こうなると、猫も人から嫌われ、おどかされ、水をかけられたり、大好きな単独生活が他の猫との競争で、びくびくおどおどした生活になりました。
この結果、ボランティアの手をかりて猫をつかまえ、おとなの猫はオスもメスも不妊去勢手術、子どもの猫は手なづけて新しい飼い主をさがし、えさ場の管理やふんの始末をみんなでして、やっと解決しました。
このようなことがおきないように、杉並区では、きちんと猫の世話をするグループが不妊去勢手術をする場合、その活動を支援する事業を行っています。


 年齢って、こんなに違う

犬や猫などの動物たちの寿命が、私たち人間よりずっと短いことは、皆さんはもう知っていることと思います。
私たちは、約80年の人生のなかで、学校で学び、それから社会に出て働き、家庭を持ち、子どもを持ち、年齢とともに周りに環境が大きく変わっていきます。
それに対して、犬や猫は、ペットとしてそばにいる時、学校にも行かないし、家庭も作りません。ずっとかわいい子どものままのように見えます。けれども、私たちよりずっと短い一生の中で、ちゃんと成長しています。周りのことも見ているし、感じてもいます。老いてもいきます。
犬についていえば、最初は名前を呼んでも知らん顔だったのに、いつのまにか喜ぶようになります。うるさくほえてはいけないことも、ごはんの前には待たなければいけないこともわかってきます。4歳くらいになると、自信がついてきます。家族のなかでも、大切な存在です。メタボリック検診はないけれど、8歳くらいになると、メタボリックにも気をつけなければなりません。足が痛くなっているかもしれないし、もしかしたら、そろそろ自分のペースですごしたいな〜と思っているかもしれません。
猫も、犬ほど感情は表さないけれど、年齢とともにいろいろ学んでいきます。子猫の時は、いたずらをして家の中の物をこわしてしまったりしますが、しばらくすると、自分のお気に入りの場所を見つけ、のんびりくつろいだ生活をするようになります。
動物たちの年齢は、私たちと大きく違っているけれど、やはり、ちゃんとした自分の一生を過ごしていくのです。
人間と、犬・猫の年齢のおおまかな比較を表にしました。これを参考にして、周りにいる犬・猫のことを思いやりを持って見直してみてください。

犬・猫
人間
犬・猫
人間
1ヶ月
1歳
8年
48歳
2ヶ月
3歳
9年
52歳
3ヶ月
5歳
10年
56歳
6ヶ月
9歳
11年
61歳
9ヶ月
13歳
12年
66歳
1年
17歳
13年
71歳
1年半
20歳
14年
76歳
2年
23歳
15年
81歳
3年
28歳
16年
86歳
4年
32歳
17年
91歳
5年
36歳
18年
96歳
6年
40歳
19年
101歳
7年
44歳
20年
106歳


 命の重さはみな同じ


命、生きること、死ぬことについて、皆さんは考えることがあるでしょうか。たとえば凶悪事件で被害者が出た時、私たちはまず恐怖の感情をもち、心から気の毒に思い、そして周りの人の嘆きを思います。けれども不幸にして身の周りでそのようなことが起こってしまった人を除いて、私たちはその出来事を実感することはないと思います。
人は自分が経験したことからしか、物事を捉えることができません。いいかえれば、どんなに小さなことでも、実際に経験すること、身の周りにあることから、 想像することができるということです。
長い間一緒に過ごした動物が、すぐそばで死んでしまった時はどうでしょう。私たちより、短い寿命を生きる、私たちより小さい犬や猫、あるいはもっと小さな小鳥やハムスター。その時、心は痛みをおぼえます。近くでいつも感じていた、温かい身体は冷たくなり、胸はもう動かなくなります。高齢のために、病気で事故でそれぞれの理由で動物たちは死んでいきます。哀しくて、せつなくて、さみしくて涙がでてきます。この時、生と死というものを身近なものとして実感します。
動物も人間も、呼吸が止まって、心臓が動くのをやめると死が訪れます。これは皆平等です。人も、野良猫も、大型犬も、小型犬も、同じです。そのことを考える時、あらためて、毎日生きていること、命があるということ、呼吸し続けていて、心臓が動いていることをすごいことなのだと思います。
幸せなことに動物病院に来るほとんどの動物たちは、理不尽に命を奪われることはありません。飼っている人たちは一所懸命に世話をして、見送ってあげることができます。これは本当に幸せなことです。
そばにいる犬や猫や小鳥、ハムスター、どんな動物でもいいので、よく観察してください。そして、その動物たちの命を感じてください。それができたら、私たち人間の命、自分の命、周りの人の命、知らない誰かの命について、その尊さについて、重さについて、感じることがきっとできると思います。

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 保護者の方へ

動物病院では、よくお母さんのこんな言葉が聞かれます。
「子どもがほしいというので買ってあげたのですが、最近は全然面倒をみなくて、結局私が面倒をみることになってしまって…」という言葉です。
こういう事を聞くと、このお母さんは少しお子さんに対して甘いのではないかと思ってしまいます。
動物はぬいぐるみではありませんので誰かが世話をしなければなりません。その動物が亡くなるまで面倒をみてあげるという事です。そうすることでお子さんは若い時の元気一杯の動物を、そして年老いてからの精一杯生きようとする動物と接する事になります。その間に、動物からどれほどの安らぎや、癒しを受ける事でしょうか。動物から教わる事もたくさんあります。
動物を飼う時は是非お子さんと最低限の約束をしてください。
例えばどんなに忙しくても、食事だけはあげるとか、散歩だけはするとか、あるいはトイレだけは換えるとか。面倒をみればみるほど動物は懐いてお子さんの兄弟や、友達に匹敵する存在になり、良い思い出にもなることでしょう。
犬、猫、ハムスター、小鳥など、それぞれの種類で世話の仕方や、寿命は違いますが、本で調べたり、獣医師に聞きながら楽しく飼育をしましょう。

守ってほしいこと
○イヌと散歩をする時は、リード(引き綱)を必ずつけましょう。 
 イヌを飼うときのルール(条例)で決まっています。
○散歩のときのイヌのふんは持ち帰りましょう。また、おしっこは水で流しましょう。
○飼い主のいないネコをかわいそうで助けたいと思った場合は、親に相談して、飼うよう努力しましょう。
  きちんと管理しないで、食べ物を与えるだけでは、かわいそうなネコたちを増やすことになります。
○ネコはできるだけ室内で飼いましょう。また増やしたくない場合は、不妊去勢手術をしましょう。


〜あとがき〜

今回は、動物も人と同じ命を持ち、人の社会で暮らしている、ということについてまとめてみました。
みなさんが少しでも動物の気持ちを感じつつ、また、身近な動物が老いて亡くなる時が来ることも理解していただければと思います。
命の尊さを動物からも経験して頂き、少しでも他者を思いやる気持ちに満ちた地域社会ができることを願っています。


編集
東京都獣医師会杉並支部           
発行・監修
杉並保健所生活衛生課 (〒167−0051)杉並区荻窪5−20―1 (3391−1991)
平成20年10月発行


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