杉並獣医師会
杉並区獣医師会image
HOMEお知らせ夜間診療ネットワーク動物病院マップ基礎講座動物通信
 

HOME > 動物通信 > 健康に暮らすための食餌の話

動物通信

健康に暮らすための食餌の話

はじめに
必要な栄養素は?
年令と食餌
肥りすぎにさせないためには?
食餌と病気
食餌療法



 はじめに


皆さんは、ドッグフード、キャットフードという言葉を耳にしたことがあるでしょう。犬や猫の食餌(しょくじ)のことです。
大昔、犬や猫は、野生の動物や魚・鳥などを主食にしていました。しかし人間と共に生活するようになり、人間の食事に近い内容になりました。
動物に対する知識が少なかった頃は、栄養がかたよったり、不足し、病気になることもあり、現在のように長生きすることができませんでした。
みなさんが健康な身体と心を保つためには、毎日の家での健全な食事が欠かせません。学校での給食は、栄養士さんや調理員さんが栄養のバランスのとれた、しかも美味しい食事を作ってくれます。
犬や猫の食餌もみなさんと同様に考えてください。寿命をまっとうするまで、その時の年齢、季節、運動量、また病気によっても、食餌の内容を変えることが必要です。
このように、目的にあった食事を作ることはとても大変です。そこで、誰でも簡単に与えることができるドッグフード、キャットフードが、たくさん作られるようになりました。病気別に治療を助ける内容の食餌まで含めると、百種類以上あります。数多くの中から選ぶには、知識のある人や、獣医師に相談するとよいでしょう。
家族の一員となった動物たちと、健康で楽しく暮らしていきたいものです。



 必要な栄養素は?

もっと元気!ずっと元気!のために大切なのは、栄養素{炭水化物(たんすいかぶつ)・脂質(ししつ)・蛋白質(たんぱくしつ)・ミネラル・ビタミン・食物繊維(しょくもつせんい)}。それに水と酸素も必要です。

栄養素
多く含まれる食物
はたらき
炭水化物 ごはん、パン、めん類など 体を動かすエネルギーになる
脂質 バター、サラダ油、
オリーブ油など
体を動かすエネルギーになる
体を作る
蛋白質 肉、魚、卵、大豆など 体を動かすエネルギーになる
ミネラル 牛乳、のり、緑の野菜など 体を作る
体の働きを調節する
ビタミン 野菜、果物、豚肉など 体の働きを調節する
食物繊維 玄米(げんまい)、豆類、きのこなど お腹の調子を整え、便通(べんつう)を よくする


 年齢と食餌

人と同じように、犬や猫も離乳(りにゅう)期や成長期には、食餌の回数、内容などに注意が必要です。
犬の場合を例にとって、説明してみましょう。

離乳の時期(生後20日から60日ぐらいまで)

母親のお乳を飲みながら、だんだん固形のフードを食べる時期です。消化の良い栄養価の高い食餌をお腹の調子をみながら1日3回から4回あたえます。日ごとに成長していくので、少しずつ増やしましょう。
離乳食用の缶詰やドライフードなどを使うと、栄養や消化のことも考えられているので便利です。

成長期(3ヶ月から1歳ぐらいまで)
人でいうと、幼児から成人するまでにあたるこの時期は、骨を作るカルシウムや筋肉を作る蛋白質など、成長期に必要な栄養が十分にとれるようにします。特に大型犬では、これらの栄養が不足すると、骨の病気やひ弱な体になってしまいます。

成犬(せいけん)(おおよそ1歳から9歳ぐらいまで)
1歳くらいまでに、骨格はほとんどできあがります。この時期は、栄養のとりすぎによる肥満に注意しましょう。食餌の量は八分目にして、1回の食餌の量は、その動物の頭の大きさが目安で、1日2回あたえてください。運動や日光浴なども心がけてください。
それと同時に、生活している環境によっても、必要な栄養は変わってきます。運動量の少ない、室内で主に生活する愛玩犬(あいがんけん)や猫と、警察犬や盲導犬(もうどうけん)、牧羊犬(ぼくようけん)といった作業犬(さぎょうけん)とでは、必要なエネルギーの量ががおおいに異なります。運動量にみあったカロリーと栄養素を与えましょう。

老齢(ろうれい)(10歳以上)
運動量も少なくなり、食餌も一度にたくさんの量が食べられなくなります。1日の食餌の回数を多くして、量は少なめにしましょう。 この年齢になると内臓の働きが弱ってきて、脂肪(しぼう)の多いものは胃腸(いちょう)に負担をかけてしまいます。消化の良い、脂肪の少ないものにしてください。歯も悪くなってくることがあるので、硬いものはやわらかくして、あたえることもあります。
猫もだいたい犬と同じような食餌のあたえかたになりますが、犬よりも蛋白質を多く必要とする動物です。魚や肉など猫用につくられた缶詰(かんづめ)やドライフードをあたえるようにします。

「犬が吐いて下痢しているんです」と電話がありました。
「何か悪いものでも食べさせなかったですか?」と聞くと
「ちょっとイヤな臭いのしていた残り物の肉を食べさせたんです。」
あなたが食べられない肉は犬にもあげないで下さいね!

ウサギ、ニワトリは何を食べるの?

ウサギ
草食(そうしょく)動物で、少しずつモグモグ食べます。
市販のウサギ用ペレット、牧草(ぼくそう)(アルファルファ・クローバー・チモシーなど)、緑黄(りょくおう)野菜、果物(くだもの)をあたえます。
水を飲ませると下痢(げり)をして死ぬという迷信がありますが、誤りです。常に新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。
歯が伸び続けるので、硬い繊維成分を多くふくむ食餌(野菜や野草の茎・干し草など)が必要です。
またコロコロした通常の便と違った、盲腸便(もうちょうべん)というやわらかい便をします。このときお尻に口を近づけて食べますが、これは消化を助ける正常な行動で、栄養素を再利用しているのです。

ニワトリ
トウモロコシ、大豆カス、フスマ、魚粉(ぎょふん)などと、荒びきした青菜、ボレー粉{貝殻(かいがら)をくだいたもので、卵を産むメスは、カルシウムを多く必要とします}を加えて1日2回あたえます。これらのものがバランスよくふくまれた、市販の配合飼料(はいごうしりょう)もあります。新鮮な水も与えましょう。


 肥りすぎにさせないためには?


何を食べて、そんなに肥ったの?
動物の体に脂肪がたくさんついてしまった状態を肥満(肥りすぎ)といい、肥満症(ひまんしょう)は病気の一つです。肥満はいろいろな病気を引き起こすので注意が必要です。肥満になっていても、立派な体格だと喜んでいる飼い主も多いものです。肥りすぎていないと言うことは、バランスのとれた食生活ができているということで、動物にとって、幸いなことです。
肥満には食餌の量が多すぎるために起こる場合と、体でエネルギーがあまり使われないために起こる肥満があります。どちらも肥満は余分な栄養が体にたくさんたまって起こるのです。
食べ過ぎは、離乳後の食餌のしつけやごほうび、おやつ等によることが多いので注意しましょう。食餌の量をうまく調節してゆくことが大切です。脂肪は炭水化物や蛋白質に比べ、約2倍のカロリーがあるのでひかえめにしましょう。手作りの食餌は栄養素のバランスを考えて作るには大変手間のかかるものです。犬や猫の栄養学に基づいて作られているドライフードを与えるのが良いでしょう。バランスのとれた食餌は食欲をおさえる作用もあると言われています。与える量を減らすだけで肥りすぎのコントロールが出来るはずです。
また、不妊手術(ふにんしゅじゅつ)をした動物等では、エネルギー消費量(しょうひりょう)が少なくなるので食餌の量を約2割程減らしましょう。


 食餌と病気

動物にとっても食餌は、健康に生活していくために、とても大切なものです。しかし、食べ物であれば、何でもよいというわけではありません。与える量や食べ方をまちがえると、病気になってしまいます。食べ物が原因でおこる病気にはどんなものがあるでしょうか?

a栄養のバランスの悪い食餌に注意しましょう
成長期に栄養のバランスが悪いと、たとえば、クル病や骨軟症(こつなんしょう)などの骨の病気になることがあります。また、消化吸収がうまくいかず、下痢や便秘(べんぴ)をおこしたり、さらに、皮膚病(ひふびょう)の原因になったりします。

bアレルギーに気をつけましょう
皆さんの中にも卵を食べるとアレルギーを起す人がいると思います。犬や猫もアレルギーを起こすことがあります。たとえば、牛肉・牛乳・小麦・大豆食品などが原因になることが多いようです。

cあたえかたにも注意しましょう
大型犬が乾燥したままのドッグフードを大量に食べたあと、すぐに散歩に連れ出し、活発な運動をさせてはいけません。大きくふくれた胃がねじれて、胃(い)捻転(ねんてん)という大変危険な病気をおこすことがあるからです。食餌の後ゆっくり休んでから散歩に連れ出すか、散歩のあとに食餌をあたえるようにしましょう。

d歯石(しせき)に注意しましょう
やわらかい食餌ばかりあたえていると、歯みがきの習慣がない犬や猫の歯には、その周囲に歯石というものがつきます。歯石は体にいろいろと悪いことをおこします。歯ぐきをいためて出血したり、歯がグラグラになり、やがて歯がぬけてしまうことがあります。歯みがきをしてあげるなど、口の中を清潔に保つことが大切なのだということをおぼえておきましょう。

e人間の食べ物に気をつけましょう
「おいしそうに食べるから」「喜ぶから」といって、人間の食べ物やおやつを食べさせてはいませんか?
その中には、食べるとぐあいが悪くなったり、中毒をおこして重症になると命にかかわる食べ物もあります。
たとえば、ネギの入った料理(ハンバーグ・みそ汁・すき焼き・・・など)や、いか、チョコレート、キシリトールガムなど、皆さんがふだん良く食べているものです。これらのものは決して犬や猫にはあたえないようにしましょう。



 食餌療法(しょくじりょうほう)

犬や猫が病気になったときに、その治療のために特別に作られた食餌を使うことがあります。この食餌を処方食(しょほうしょく)といいます。
人でも病気になると献立(こんだて)を変えるのと同様に、その病気を治すために薬といっしょに使ったり、処方食だけを食べさせたりします。
たとえば、肥満症の犬や猫に、体重を減らす目的で作られた減量食(げんりょうしょく)があります。また、心臓(しんぞう)が悪いときにあたえる、塩分をひかえた心臓病食(しんぞうびょうしょく)や、膀胱(ぼうこう)に石ができたときに、その石を溶かすように作られた処方食があります。
その他、皮膚炎(ひふえん)・下痢・便秘・腎臓病(じんぞうびょう)・肝臓病(かんぞうびょう)・がん・歯石・関節炎(かんせつえん)・糖尿病(とうにょうびょう)などのときに使う処方食もあります。

ある夏の暑い日。犬のぐあいが悪いとのことで往診(おうしん)しました。
ドッグフードは食器に山盛り入っていました。しかし、水が置いてありません。あやうく脱水症(だっすいしょう)になるところ。いつでも新鮮な水が飲めるようにしてね。


〜あとがき〜

今回は、食べ物と動物の健康についてまとめてみました。
動物を飼っていない人にもわかりやすく、楽しく読めるように考えました。
みなさんの健康とも共通することもいくつかあったと思います。
難しいことば・表現もありますが、家族・先生と話し合って、理解を深めてください 。


編集
東京都獣医師会杉並支部           
発行・監修
杉並保健所生活衛生課 (〒167−0051)杉並区荻窪5−20―1 (3391−1991)
平成19年10月発行


HOME | お知らせ | 夜間診療ネットワーク | 動物病院マップ | 基礎講座 | 動物通信